トンビが鷹を産む確率
恐ろしいことではあるのだが、トンビが鷹を産む確率というのは限りなく
0に等しい数値ではあっても、ゼロではないのだ。
ゼロだとするとすべての生物種は変化しないことになる。
少なくとも突然変異という形で生物の変化が存在する以上、ゼロということ
だけは絶対にない、つまり生物は遺伝情報を伝達する際にその情報を変化
させていることは間違いないのだ。
…それと進化大進化うんぬんはちょっと話が変わるんで置いとこう。
さておき。
大体人間とチンパンジーですら遺伝的差異はわずか1%ともいわれており、
極端な話人間とチンパンジーの交雑すらおそらく可能だが絶対やりたくない。
チンパンジーだって人間とは…それはともかく、われわれという種はいきなり
出現したわけではないけれども、どうやらある程度の断絶により分化したのは
間違いなさそうに思える。
最初の差異はごく小さなものであったかもしれない。
しかし2つの集団が別々に存在したため、数十万年のときを経た結果まったく
別のものになったのであろう。
そんなわけでチンパンジーがいきなり人間を産むってことは実際には
ありえなさそうなのだが、進化の方向性が決まったら人間へと突き進む
ことはありえそうだ。
人間とチンパンジーの分化のキーとなる遺伝子はごく少数である可能性もある。
…つーことはつまりなんだ、どこの遺伝子いじればトンビと鷹を分化させれるか
わかればトンビに鷹を産ませることは不可能でもないかもしれない。
トンビの卵に鷹の細胞の核を移植すりゃ、トンビが鷹を産むという話になりえる、
といえなくもないようなそうでないような。
実際にはもう一個問題があるんだがな。
それはトンビは鷹を育てるか?という問題である。
たとえば自分の子供が生まれてきたとして、両親とどう考えても違う人種だったら
「これは突然変異のせいなんだ」
と考えることはまずないような。
子供がどっかで取り替えられたか、遺伝的に別か…まぁそうなるよな。
その子を育てるかどうか…いや、育てる事は育てるにしてもどっか複雑な気分を
抱くか、「お疲れ」って言って…となるかは状況しだいだろうな。
鳥類の場合、この問題はわれわれよりもっと深刻である。
カッコウやホトトギスといった「託卵」という行動をする連中がいるから困る。
こういう鳥類はやたら産卵が早い。飛んできて別種の鳥の巣に産んで逃げる。
ターゲットとなるのは、カッコウの場合オオヨシキリやホオジロなどである。
性質が悪いことにこういう連中の卵やたら孵るのも早い。
で、もともとあった別種の卵をカッコウなどの幼鳥が捨ててしまう。
親鳥はカッコウを子供だと思って…かわいそうすぎる。
もっとも実はオオヨシキリなどにも託卵を見抜ける奴がいて、託卵を捨ててしまう
場合もあるようであるから自然というのは奥が深い。
まぁ人間も赤ちゃんポストとか作ってるから鳥のことなんとも言えないか…
歴史的には間引きとかもあったりしたしなぁ実際…
300日問題とかで本当の子供なのにそう法的に認められないとかいうのも何だかな。
未熟児とかどうなるんだよ。
トンビが鷹に託卵されるという事例は今のところないと思われるが、もし
そうなったとしてトンビは子供を育てるかどうか…育てそうな予感もする。
たださらに問題があってね。トンビは雑食性だが、鷹は完全な肉食。
つまり親がちゃんと育てられない場合もありうる。
そのまま鷹の子は飢え死にするかもしれないな。
万が一運よく成長したとしても、鷹は自分を何者だと思うかという問題もある。
鷹は自分のことを鷹だと思わず、トンビだと思うかもしれない。
みにくいアヒルの子は自分を白鳥だと思わず一生を過ごすかもしれない。
僕は白鳥なんだ!といきなり家を飛び出ることはなさそうに思える。
でも白鳥ってでかいんだぜ。どう考えてもアヒルの兄弟後日ボコられる。
…どっちにしても、そうなった場合もとの種との交配の確率は低下する…
平たく言えば一生童貞…当たり前だけどおんなじ種どうしが一番いいってことか。
そういえば狼少年(嘘つきじゃない方:ロムルスとレムス、ローマ帝国の始祖?)や
狼少女(アマラとカマラとか)は実際には狼に育てられたわけではないと思う。
人語を解する犬神様とかならともかく、狼がってのはちょっと…
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